借りも借りたり

[投稿日] 2016-10-03
[更新日] 2019-10-22

lots_of_loan
私は30歳でフリーランスになったので、50歳=フリー生活20年でもあります。あっという間ですなぁ。もうそんなに自分で確定申告したっけ?という感じです。

30代のころは毎日が必死であり、かといって思ったように稼げるわけでもなく、数年間の借金生活をしたことはこのブログのスタート時に書いたとおりです。

いまでも覚えている、というかいまだから思い出すのかもしれませんが、借金がかさんで一番困窮していたとき、新聞の求人欄に載っていた、都内のとある一大歓楽街に構えるブル●ラショップの夜勤のバイト(2交替・日給1万円)を真剣に検討したこともあります。

「朝7時までここにいて、帰ってから4〜5時間寝れば午後早めから本業できるじゃん」なんて、当時は自宅兼事務所で時間的な融通が利いたとはいえ、かなり無茶な発想です。

結局は「やっぱり時間的・体力的に無理」と気づいたことと、都内でも有数の危険地帯とされる街だったので、身の安全に不安があって断念しました。1年後くらいかな、好転する兆しを感じはじめたころ、そこと思われる店が検挙されたというニュースを見て、なんともいえない気分になりました。

さて、なぜそこまで?といえばそれは生活や仕事の支払いのために十分な収入がなかったことと、それを埋め合わせるために借金を繰り返したこと、そしてその返済に追われたことです。甚だシンプルです。

最初から「ない袖は振れませ〜んテヘッ」と開き直って破綻を受け入れるくらいの肝っ玉があれば(それはそれでいろいろあるだろうけど)経験せずに済んだことです。でも私はそれができませんでした。引き落とし日にわざとショートして督促がきてから払う、ということはやってましたが、「払えない」という事態は回避しつづける方を選びました。

コゲつくと「腎臓売れやぁッ!」て電話がくるとかウシジマくんが追い込みにくるとか、そういうタイプの借金はしなかったので、お金が生き死にに絡んだり生活の根幹を揺るがしたりするようなことはないな、という冷静さは常にありましたが……いま思えば、開き直った方が楽でした。


実はすべての返済が完了したのは今年に入ってからなのです。はじめて借りてから16年あまり、借りずに返済するだけになってから10年です。最後まで残っていた借入先から完済通知が送られてきたとき、泣きそうになりました。思わずパートナー相手に祝杯です。

クレジットカードのキャッシング枠にはじまり、金融公庫や自治体の融資、カードローンから生命保険の契約者貸付に至るまで。数えてみれば11口、総額650万円超。それを数年間「借りては返し」で回し、利子も当然ついているわけで、実質は900万円くらいかと思います。

やがて状況が上向き、借金生活を脱したことも以前お話ししたとおりです。私の力だと思っていいのか、単に運がよかっただけなのか。どちらにしろ、そこから抜けられたことに複雑な安堵感を抱きつづけています。

感覚的なものですが、法人のように資産的な意味合いがある借入と異なり、この手の借金の返済は自分にとっては「ただ出ていくだけ」の活かしようがないお金です。たとえば15万円あればできることを諦めながら15万円を支払うので、精神的には30万円の損失です(完済してしまえば逆に30万円分の解放感がありますが)。

事業主の立場としてはときに借金も必要であることは理解していますが、個人としてはできることなら……というのが経験をとおした私の結論です。

完済したのを機会に、いわゆる過払い金の返還請求手続きをはじめています。デリケートな問題なのであまり詳しくは書きませんが、経過報告はしたいと思います。

私はこの世界↓には踏み込まなかったものの、やはり身につまされる話ではあります。