「ただのTodoリスト」ではないGTDの真価とは。マインドスイープと週次レビューで「ストレスフリー」な毎日を

[投稿日] 2021-08-21
[更新日] 2021-08-23


相変わらずのGTD信者です。
GTDによるタスク管理ツール
いまさらでなくGTD
……といいつつ実は2019年から2020年にかけて非常にストレスフルな仕事を抱えてしまい、忙しさを理由に日常のタスク管理・プロジェクト管理が手帳・ウェブカレンダー・OmniFocusの間で錯綜するような状態に陥ってしまった期間がありました。

その期間、OmniFocusが「ただのTodoリスト」化していたことを告白せねばなりません。

ブログで記事まで書いておいて……なんたる怠慢。

今回はそこから脱して辿り着いた、いまのところ自分としては盤石といえるGTDのあり方について。

「原典」を徹底的に読み直し、マインドスイープと週次レビューの重要性を再認識

上述のような仕事も大詰めに近づくにしたがってますますストレスも増したころ、「これじゃダメだ!」と静かにキレて(大人だし)、2カ月ほど毎週末にとにかく決まった時間を設けて「GTDのやり直し」を敢行したのです。

こういうときは初心に帰るのが一番、と「原典」を引っ張り出してきて熟読。私にとってはやっぱりこのバージョンなんですよね……。


とはいえさすがに古書も探しにくくなってきました。使われる用語なども新しい版のものに変わってきているように思うので、これからはじめる方はあまりこだわらなくてもいいのかもしれません。


この本は具体的な方法やツールについてというよりも、提唱者のデヴィッド・アレン氏が主にオフィスワーカーの生産性についての考えをまとめたものになっています。そもそもGTDは特定のツールを推奨するものではありません。

いま思えば昨今よくある「紙とペンでいい」というタイプの自己啓発・仕事術の先駆けのようにも感じますね。ただあくまでも「考え方」なので「手っ取り早く具体的なスキルが知りたい!」という人にとってはとっつきにくく、また様々な誤解や挫折を生む要因にもなっているのでしょうが。

でも繰り返し読んでいくと、「頭の中に残っていてときどき思い出されるような気がかりが仕事の手を止めてしまう」こと、「それらをすべて預けて必要なときまで忘れていられる信頼できるシステムがあればそのストレスから解放される」ことがGTDの根幹を成す考え方であることがわかります。

うん、だからやっぱり「頭の中身を、本当にそれ以上浮かんでこなくなるまで徹底的に書き出す」マインドスイープと、「忘れていてもいいと思える信頼できるシステムとして保ち続ける」週次レビューが必須なんだよね。

その頃の私は忙しさを理由にそれが疎かになってました。その場その場で発生した予定やタスクを手近なツールに放り込むだけで、「小さな気がかり」は放置。あとでOmniFocusで整理はしていましたが、定期的にレビューすることもなく、「単なるTodoリスト化」を招いたというわけです。

イチからやり直した方がいい。グロッキー寸前だった自分が、どうにか踏みとどまれた気づきでした。

マインドスイープと週次レビューの時間を定期的な予定として生活に組み込む

どちらにもそれなりの時間を使います。もっとも重要な作業でありながら敬遠される・続けられない理由でもあるでしょう。

特にはじめてのマインドスイープでは「もう煙も灰も残ってねぇよ」というくらい徹底的に頭に浮かんだことを書き出します。私も最初のときは3時間くらいかかった覚えがあります。

慣れてしまえばやることが山になっている状況でもマインドスイープとレビューで1時間もあれば済むので、GTDのメリットを享受しようと思ったら「毎週ここでやる!」とひとます覚悟して決めよう。

仕事や生活のサイクルによって人それぞれ、金曜日の終業後がしっくりくるという方もいれば、土曜日はゆっくり起きて午後からじっくり、あるいは月曜日に早起きして、という人もいるでしょう。

私の場合は月〜金はとにかく仕事優先、家事・休養はできるだけ土日に、というサイクルなので、土曜日に家事をこなしつつ頭を休め、日曜日の朝にクリアな状態で取り組み、午後から心穏やかに過ごす、という形に落ち着きました。

土曜日の朝にやってみたこともあるんですが、平日の疲れが出て使いものにならない人間になっていることが多いので……歳かなぁ(´;ω;`)

管理人が実際に続けている方法・手順は

私がいま実際にやっている具体的な方法・手順は次のとおりです。メインのツールは引き続きOmniFocusです。この「やり直し」を機会に、長らく「ソコソコお金かかるじゃん」と避けていた2から3へのアップグレードを行ないました。Macクライアント、iPhoneアプリともにです。先だって購入したiPadにも入れました。

1)過去1週間の振り返り。メール・手帳・ウェブカレンダーや書類を見直して、その週でなにをやったか、残っていることはなにかをチェック。

2)次の1週間の予定を確認。これもメール・手帳・書類の見直しを中心に。

3)これらを踏まえてマインドスイープ。1・2でチェックしたものを手近なところに広げておいて適宜参照しながら、思い浮かんだ作業や連絡ごと・買い物などOmniFocusのインボックスに登録していきます。

1つのアクションはとにかく「単独の作業」レベルに細かくすることを心がけています。

手帳を見て思いつくものだけでなく、朝起きてからの自分の行動(起床・身支度から移動中の交通機関や徒歩の道のり、オフィスに着いてからやること、クライアント・協力会社までの道順や担当者の顔、ふだんの買い物をするスーパーやコンビニ、自宅の隅々……などなど詳細に)を頭の中でなぞり、浮かんだことはとにかく取捨選択せず書き込んでいきます。

仕事や日々の生活に関わることだけでなく、人生設計やいつかやりたいことといったものも思いつくままに入れています。

なお、週末のマインドスイープに限らず頭に浮かんだタスクはできるだけ速やかに常時携行しているロディアのメモに書き出すか、iPhoneのOmniFocusのインボックスに打ち込んで「気がかり」を頭に残さないよう心がけています。


4)思いつくかぎり書き出したら、各アクションにタグをつけ、期限を決めます。すでにOmniFocusに設けてあるプロジェクトに収まるものならそこに組み入れます。新しいプロジェクトになるものはプロジェクトをつくってそちらに。

プロジェクトに入るけど期限が決まっていないものは期限を空欄にしたまま組み入れています。どこにも収まりそうにないものは「いつか/たぶん」と名づけたプロジェクトに放り込んでおきます。

5)ここからOmniFocusのレビュー機能で全体を俯瞰していきます。

まずは各プロジェクトごとにその週に実行することが決まっているものを確認して、1週間のスケジュールを具体的にイメージします。

それから期限を決めていなかったもの・変わりそうなもの、「連絡待ち」のものや人にお願いすることの見直し。ゆっくりと反芻して必要であれば設定項目を変えていきます。

長期的な人生設計やリタイア後にやりたいことなども毎回必ず眼を通して、モチベーションの維持に役立てています。

6)OmniFocusでのレビューが済んだら改めてメールや手帳・ウェブカレンダーをチェックして、漏れや矛盾がないか確認。これで終了です。

慣れるまでは1時間以上かかりました。習慣化できてからは30〜45分くらいです(忙しさによりますが)。

また「各月の最終日に一番近い日曜日」には週次レビューのあとで「月次レビュー」としてより長期間(半年〜1年くらい)を見通すようにしています。

このプロセスを通じて、OmniFocus上のプロジェクトの構成もすべて見直しました。タスクの管理・リマインドだけでなく、より高い視点で日々の生活を将来にわたって俯瞰できるように考えました(こんな感じ↓)。

3年ほど前からはじめたブレイン・プログラミングも統合しています。

「安心していまに集中できる」システムとして稼働させ続けるために

こうしてじっくりとマインドスイープと週次レビューを行なうようにしたことで、やるべきことがきちんと記録されている・管理されている、そして最適なタイミングでリマインドされるという大きな安心感が得られるようになりました。

気になること……日々のTodoだけでなく、人生や夢に関することまで……はすべて頭の外、OmniFocusを中心に手帳やウェブカレンダーも活用しながら統合されており、いつでもアクセスできる。「いまやるべきことに集中しよう/それ以外は忘れてていいから」という、GTDが提唱する「ストレスフリー」(私なりの解釈ですが)を実現できていると思います。

そしてこれを「信頼できるシステム」として稼働させ続けるためには、やはり定期的にマインドスイープを行なって頭を空にして、なおかつ週次レビューで常に現在進行形の内容にアップデートし続けることが必要です。

忙しいときにそんな時間なんて……という気持ちもわかります(私もそうでした)。ですが、そこをグッと抑えて週1回だけそのための時間を取れば、同じ忙しさでも「忙殺」という精神状態を越えて「大丈夫、コントロールできている」という落ち着きを手に入れられるのでは、と経験的に思います。

ちなみに冒頭の「ストレスフルな仕事」のなにがストレスかというと実はクライアントの姿勢・態度なのでした。長い付き合いの相手ではありますが、事業環境の変化(あちらも大変だったんだと思いますが)で無理難題や取り決めの一方的な変更が頻発するようになり、そこに大型の案件が入ってきて、という状況です。

そういう状況下で改めてGTDに取り組んだことは効果絶大で、こちらの労力・コストと得られる利益、問題が発生した場合のリスクの大きさを冷静に検討することができました。そしてその仕事を最後に取引を終了するという判断に至りました。

このご時世に請け負う側から取引を終えるなんて、と(ちょっぴり)思いましたが、フタを開けてみたらボスもスタッフも全員が納得・大歓迎という反応。最初の会社員時代からこれまで仕事で下してきた判断の中でトップクラスのいい判断だったと思っています。

さて。

日曜日の朝、時折パートナーと語らいながらじっくりと自分を振り返る・俯瞰する作業は、瞑想にも似た静かで穏やかな時間であり、自分をリセットしてまた1週間を乗り切る力をチャージする儀式のようでもあります。

あとは、難解・機能多すぎといわれることが多いOmniFocusを「使いこなしてる感」を味わえて、ちょっと嬉しい(・∀・)

改めてオススメします、GTD。