フリーランスの世渡り

[投稿日] 2016-06-01
[更新日] 2022-06-22

yowatari

私はフリーランスとして働いており、現在は一番取引量が多いクライアントさんのオフィスにデスクを置いてもらい、主にそこの業務を行なっています。必ずしも専属ではないので、ほかのクライアントさんの仕事を受けることも認めてもらっています。

おかげさまでいまはやりくりがつけられる暮らしを送れていますが、30代は余裕はまったくありませんでした。数年間の借金暮らしもしました。

フリーランス=定職に就いてない何でも屋、という世間の意識の低さorz

最初に勤務したA社を3年強で辞め、A社のクライアントにあたる業界のB社に入社。ちなみにA社とB社の間には取引はありません。B社に4年ちょっと勤務した後、それまでの経験を活かす仕事を興す形で個人事業主になりました。30代に入りたてのころです。

フリーランスが珍しい業種ということもあってか、当初は散々な扱いをするクライアントさんもいました(いまもたまにいるけど)。

月曜日に決まっていた仕事を木曜日まで放置して、金曜日の朝「大至急の仕事があるから今日中にきて」というので行ってみたら「週明けまでによろしく」といわれた上、「じゃあ土日に連絡してもいいですか?」と尋ねたら「え? 土日くらい休ませてよ(笑)」と返される、そんなことがザラにありました。

「重要なことを頼みたい、すぐきてくれ」「どんな用件で……」「いいから! 重要なんだよ!」というので便の悪いオフィスに1時間かけて行ってみたら「このデータ、CDに焼いてくれ」だけだったり。部下に頼んだら「そんなこともできないの?」て陰でバカにされそうでイヤだ、というお話です。

もう完全に「フリーランス=奴隷」です。

挙句「俺、来月転職するんだけど、転職先の会社がお前みたいな業界経験者を探してるっていうんで、お前も入社するっていっておいたから。これでお前も定職に就けるな」。いやいやいやいや、ちょっと待て、無職じゃねーし。

目先の収入・顧客との付き合いでなく自分が望むことを優先するように切り替えて

私の場合、そういうお付き合いが多かったときが稼げなかったときなんですね。収入に結びつかない無駄な時間・行動が多く、精神的にも肉体的にも、経済的にも疲弊しました。その日の食事代と交通費を秤にかけるような生活が半年ほど続き(いやマジで)、パートナーに心配され……「これじゃダメだ」と思いました。いったい、なんのためにフリーランスになったのか。

自分の人生を取り戻す。

そうノートに書きました。いまもたまにそのページを開きます。


収入のことは考えず、上述のようなクライアントさんとは距離を置きました。仕事の条件を擦り合わせて、たとえ以降のお付き合いがなくなっても、少しでも割に合わない・都合がつかないと思えばキッパリと断わりました。わざわざ私を呼ばなくてもいいように、その場でPCの操作マニュアルを書いて渡したこともあります。

当然嫌われました、便利屋がほしかっただけの皆さんからは。

でも何度か繰り返すうちに態度が好転してきたクライアントさんもいました。

そうして、条件がよく、付き合っていてストレスが少ないクライアントさんの仕事に集中的に力を注ぎました。収入は減りましたが、1年ほどでそうしたクライアントさんがより多くの仕事を受けられる余力を得て、入ってきた仕事を私が担うという好循環がはじまり、30代の終わりには借金続きの生活から脱出しました。

もちろん一番の要因はクライアントさんが業績を伸ばせる企業だったということです。幸運だったと思います。でもあのとき「これじゃダメだ」と思わず、思ったとしてもイヤな顔をされるのが怖くてストレスだらけのお付き合いをズルズルと続けていたら、いまの生活がなかったことは明らかです。

自分の人生だからね。私なりのフリーランスとしての処世術であり、矜持でもあります。

おまけ【あの人の50歳ころ】(敬称略)
デヴィッド・ボウイ(イギリスのミュージシャン、1947年生まれ):音楽業界における資産担保債権の先駆け「ボウイ・ボンド(ボウイ債)」を発行(1997年)。後に自らのヒット曲の権利を買い戻す。